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事業承継・M&Aを失敗しないための注意点 第9回「個人M&Aにおける失敗要因」

事業承継・M&Aを失敗しないための注意点

個人M&Aにおける失敗要因の解説

前回の事業承継・M&Aを失敗しないための注意点 第8回では「会社を安く買い叩かれないための注意点」を解説しました。

《前回記事》

事業承継・M&Aを失敗しないための注意点 第8回「会社を安く買い叩かれないための注意点」

今回は個人M&Aにおける失敗要因について、解説します。

M&Aマッチングサイトには、個人でも買収可能なスモールM&AやマイクロM&Aの案件が多く登録されており、一度は買収検討をしたことがある方もいるのではないでしょうか?

《関連記事》

M&Aマッチングサイトとは?

スモールM&Aとは?

マイクロM&Aとは?

しかし、事業者であってもM&Aを成約する事は非常に難しく、まして個人M&Aとなると、より熾烈なものとなります。

法人に比べ個人は信用力に欠け、売り手(または売り手アドバイザー)より交渉すらしてもらえないケースも珍しくありません。

また、個人の方は事業承継・M&Aにおける情報も知識も不足しており、その場の勢いで強引にM&Aを成約させる事は非常に危険と言えます。

当社へ相談に来る個人の方も、自身でのM&A交渉が難航し泣きついてくるケースが多くあり、今一度、個人M&Aの基礎を知ってもらうべく、本記事を投稿しました。

では、「個人M&Aにおける失敗要因」を解説して行きましょう。

《関連記事》

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個人M&Aにおける失敗要因

個人M&Aにおける失敗要因を、解説して行きます。

※解説の中に、参考記事のリンクも記載してます。併せてご覧ください。

自己PRの作成、買収ニーズ、買収動機が明確になっていない

個人M&Aの第一歩は、自己PRの作成、買収ニーズ、買収動機を明確にすることです。

前段でも触れた通り、個人は法人に比べ圧倒的に信用力がありません。

売り手(又は売り手アドバイザー)に交渉してもらうには、自己PRの作成や買収ニーズ、買収動機を明確にする必要があります。

自己PR文に関しては、売り手に自分をよく知ってもらうために必須の資料であり、これを提示するのとしないのとでは、M&Aマッチングサイトにおける実名開示の成功率が全く変わってくるです。

また、買収ニーズと買収動機も明確にしなければなりません。

「なんでもいいから利益の出ている会社を買いたい」という考えは分かるのですが、そこに熱意や情熱はありますか?

売り手にとって、自社を親族や社員以外の第三者に承継する事は、非常に勇気のいる事であり承継後、経営を上手くやってくれるか?社員や取引先を大切にしてくれるか?など、かなり慎重になっています。

買収ニーズや買収動機が明確になっておらず、ましてや信用力のない個人に会社を売却したいと思うでしょうか?

自己PR文、買収ニーズ、買収動機のこの3点がそろっていなければ、M&A交渉は前には進めないのです。

《参考記事》

個人向けスモールM&A講座 第1回「買収ニーズが決まらない時は履歴書を作れ!」

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事業承継・M&Aの基礎知識がない

企業買収を行おうとしているにも関わらず、事業承継・M&Aの基礎知識が全く欠如している方もいます。

M&Aの手続きや交渉は、非常に難解で複雑なため、M&Aアドバイザーに業務を委託する事が望ましいのですが、その場合でも、基礎知識は身に付けなければいけません。

なぜならば、ある程度の知識がないとM&Aアドバイザーから説明される内容を理解できないからです。

M&Aアドバイザーは職務上、当然に安全取引に勤めるため、よく理解していない(または理解しようとしない)買い手との業務委託契約(アドバイザリー契約)を締結したがりません。

当然、基礎知識のない方は自身でのM&Aも成約する事は出来ません。

個人M&Aを成約させたいのであれば、まずは自分でも学習する事です。

最近では、M&Aマッチングサイト主催のM&Aセミナーも開催されています。

M&Aの基礎知識が身に付くだけではなく、サイトの上手な活用方法などの説明もあり、セミナーに参加される事を強くお奨めします。

《参考記事》

いまさら聞けない!事業承継とは?

株式譲渡と事業譲渡の違いとは?

M&Aの進め方ー買い手編

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M&A交渉方法を知らない

M&Aの交渉方法を知らないのも要注意です。

個人M&Aを検討している方は、日々の業務で商談などの交渉に慣れている方だけとは限りません。

交渉事が初めての方も多くいます。

一般の交渉にはマナーがあり、M&A交渉においても当然、進め方やマナーがあります。

これを知らずに売り手に交渉を持ちかけても、面談どころか詳細情報すらいただけません。

過去の記事で個人M&A交渉の投稿がありますので、参考にして頂き、交渉方法をマスターしましょう。

《参考記事》

個人向けスモールM&A講座 第2回「買収したい案件にアプローチしても断られる!」

個人向けスモールM&A講座 第3回「いざ交渉開始!M&A交渉の進め方!」

個人向けスモールM&A講座 第4回「買い手がトップ面談前に準備しておくべき事とは?」

個人向けスモールM&A講座 第5回「トップ面談はどう進行すればいい?」

買い手アドバイザーがいないと交渉を断られる!?

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検討材料の整理・精査方法を知らない

せっかく交渉までたどり着き、検討資料を売り手からもらえたとしても、情報精査も何もしなければ、やはり前には進めません。

M&A交渉上、買い手の重要な役目のひとつは、「意思決定を下す事」です。

交渉内容、各種資料などの検討材料を整理・精査し、検討資料として案件の細部までを「可視化」し、最終的に売り手へ検討結果を提示しなければなりません。

そのためには、検討材料の整理・精査方法も知っておかねばならず、交渉以外にもやるべきことは山ほどあります。

検討材料の整理・精査方法にはポイントがあり、過去の記事で詳しく解説しているので、参考記事にも目を通すようにして下さい。

《参考記事》

M&Aにおいて準備・収集する資料リスト

個人向けスモールM&A講座 第6回「検討材料の整理・精査方法のポイントとは?」

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デューデリジェンス(買収監査)を実施しない

小規模M&Aにおいて、デューデリジェンス(買収監査)を省略したがる方も多くいますが、これは厳禁です。

特にスモールM&Aよりも規模の小さいマイクロM&Aの場合、買収金額も僅少なため、自己判断で、M&Aを成約してしまう方も少なくありません。

確かに、デューデリジェンスには費用もかかり、省略したがるのも分かりますが、財務・税務・法務・労務・事業、その他各リスクを洗い出すのは、慣れていない方には非常に難しいです。

必ず専門家に依頼しデューデリジェンスを実施して下さい。

最近では、小規模M&A向けのデューデリジェンスを実施してくれる専門家もいるので、基本合意を締結するタイミングで相談する事を強く推奨します。

《参考記事》

デューデリジェンス(買収監査)って……何!?

スモールM&Aのデューデリジェンスのご依頼もお受付致します。

デューデリジェンスと監査の違いとは?

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経営者になる覚悟が出来ていない

これは個人M&A特有の論点となりますが、あなたは経営者になる覚悟はできていますか?

M&Aを用いるか、自分で会社を立ち上げるかにかかわらず、独立する事は相当な覚悟が必要です。

交渉がうまく進み、あと一歩でM&A成約と言うところで、気持ちの整理がつかず、M&Aを断念する方は非常に多いです。

M&Aは起業に比べ、事業や社員、取引先を最初から保有できスピード感を持ってビジネスを加速させることが可能という大きなメリットがある反面、スタート時から両肩に大きなものを背負う事になります。

そして、M&A成約と同時に経営者としての資質を日々試されます。

そのプレッシャーに耐えられず、せっかく買収した会社を投げ出すような事になっては、今までの努力が無駄になるだけではなく、多くの関係者に迷惑が掛かります。

また、経営者になる覚悟が出来ていない場合、交渉の中で相手方に空気を読み取られてしまい、交渉を中止されてしまうでしょう。

M&Aを検討する前に、しっかりと心の整理をつけ、経営者になる覚悟した上で交渉に臨みましょう。

《参考記事》

【徹底比較】M&A?起業?どちらで経営者となるか?

個人向けスモールM&A講座 第7回「個人が会社を買うメリット」

個人向けスモールM&A講座 第8回「買収を成功させている人が持っている3つの能力」

個人向けスモールM&A講座 第9回「経営者としての資質とは」

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まとめ

以上、事業承継・M&Aを失敗しないための注意点 第9回「個人M&Aにおける失敗要因」を、ご説明しました。

M&Aを検討し、M&Aマッチングサイトに登録する方が急増する一方、M&Aアドバイザーへの業務委託をしない事やデューデリジェンスの不実施により、M&A契約上のトラブルが多発している事も事実です。

特に個人M&Aの場合、法人よりも成約までのハードルが高く、順調に交渉が進めば進むほど、その嬉しさのあまり、気の緩みも出て来ます。

「準備」「交渉」「検討」「手続き」そして「覚悟」と、どれ一つ欠けてもいけません。

これらの欠如は、契約トラブルの原因ともなります。

また、M&Aのゴールは決して成約ではありません。

M&Aの真の目的は、その後の成功であり、企業経営が継続される事により、通過点はあるものの、ゴールはないものと理解して下さい。

個人M&Aの最大の注意点とは、M&A交渉から成約、そして、その後の企業経営の継続と油断は一切禁物ということなのです。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

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