デューデリジェンス(買収監査)とはいったい何なのか? |
デューデリジェンス……
聞きなれない単語ですよね。
普通に生活していれば、まず経験することのない業務ですが、スモールM&Aにおいては非常に重要な意味があります。
では、デューデリジェンスとはいったい何なのでしょうか?
今回はスモールM&Aにおけるデューデリジェンスについてご説明します。
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デューデリジェンス(買収監査)とは
デューデリジェンスとは買収監査とも呼ばれ、売り手先から提供された資料に基づいて調査を行い、その会社の実態や問題点を監査することです。
M&A界隈の人間では、略して「DD(ディーディー)」と呼んでいます。
買い手先はあらかじめ、売り手先から提供された資料やヒアリングを元に買収可否の意思決定を行います。
購入可という事であれば、意向表明書を売り手に提出し、購入の意思を示します。
これを売り手が受け入れると、両者で基本合意書を締結するのですが、この時点では最終合意ではありません。
まだ中間点です。
スモールM&Aの次のプロセスとして、売り手先から提供された資料が正しいか?ヒアリング内容に嘘偽りはないか?これから購入する企業の問題点はないか?などを精査しなければなりません。
そのプロセスが、デューデリジェンス(買収監査)なのです。
買い手先は、このデューデリジェンスの結果に基づいて、最終的な判断を下します。
では、デューデリジェンスではどのような手続きを行うのでしょうか?
次はデューデリジェンスの手続きについて、具体的にご説明します。
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デューデリジェンスの手続きについて
デューデリジェンスにはいくつか種類があります。
財務・税務デューデリジェンス、法務デューデリジェンス、労務デューデリジェンス、ビジネスデューデリジェンス、環境デューデリジェンスなど、監査する分野によって名前が付けられています。
様々種類はありますが、実務では全てに行うわけではなく、買い手先が監査してほしい分野を、税理士、公認会計士、弁護士、社会保険労務士など専門家にオーダーします。
今回は、一般的に行われる、財務・税務、法務、ビジネスデューデリジェンスについてと、その重要性をご説明します。
財務・税務デューデリジェンス
財務・税務デューデリジェンスは、売り手先の収益性や財務状況の把握を目的として、税理士・公認会計士などの財務・税務の専門家が実施します。
過去の財務諸表を元に、
- 売り手先が本来有している収益力(正常収益力)は事前に把握していた数字と乖離していないか?
- 貸借対照表上の資産の評価額は妥当か?
- 簿外債務はないか?
- 未払となっている税金はないか?
- 税務におけるリスクはないか?
など、財務・税務にかかわる個所を監査します。
株式や事業の最終的な売買価格は、この財務・税務デューデリジェンスの結果に基づいて決定する事が多いです。
法務デューデリジェンス
法務デューデリジェンスは弁護士によって実施されます。
- 売り手先が結んでいる各種契約書の内容に問題はないか?
- 訴訟や係争案件のはないか?
- 特許や商標権等の知的財産権の内容に問題はないか?
- 人事労務面でコンプライアンス的に問題はないか?
など、法務にかかわる個所を監査します。
デューデリジェンスの種類をご説明した際、法務と労務を分けて記載しましたが、中小零細企業・個人事業主を対象としたデューデリジェンスにおいては、法務デューデリジェンスの中に人事労務面の監査も含めて実施するのが一般的です。
ビジネスデューデリジェンス
ビジネスデューデリジェンスでは、
売り手先の事業と実態の把握をすべく、
- 商品・サービス収益性、成長性、市場分析
- 3C分析
- 4C分析
- SWOT分析
- PPM分析
- 5フォース分析
- バリューチェーン
などなど、挙げればキリがないのですが、要は会社や事業を購入することにって、どういったシナジー効果が生まれるかを調査・分析する事です。
大手企業や規模の大きい中小企業のビジネスデューデリジェンスの場合、その筋の専門家が提出されたデータと、事業・実態が合致しているかを監査します。
中小零細企業・個人事業主のビジネスデューデリジェンスの場合は専門家に依頼はせず、買い手先、売り手先のトップ面談の際、ヒアリングを密に行うことで完了するのが一般的です。
しかし、買い手先の最大の購入目的はシナジー効果であり、ヒアリングで完了させる場合は、その裏付けとなる資料を取得しておくことが重要です。
ビジネスデューデリジェンスの結果は、財務・税務デューデリジェンス同様、株式や事業の最終的な売買価格に重大な影響を与えるという事を覚えておいてください。
デューデリジェンス(買収監査)の重要性について
ここでは、デューデリジェンスの重要性についてのご説明をします。
デューデリジェンスは、その筋の専門家に実施を依頼するわけで、もちろん報酬が発生します。
つまり、会社や事業を購入する総額は、
株式・事業+デューデリジェンス報酬(依頼していれば+M&A仲介会社への報酬)
=買収代金の総額
となり、単純に売り手先への買収代金では済まないということです。
しかし、事業規模が小さく提出された資料や、売り手先の顧問税理士等とのヒアリングで全ての実態が把握できていたとしても、デューデリジェンス報酬を渋らずに、実施することが重要です。
買収完了後に、重大な問題が発覚してからでは遅いのです。
最終合意をする前には、必ず各種デューデリジェンスを実施することをおすすめします。
もう一点、各種デューデリジェンスについてのご説明で、財務・税務、ビジネスデューデリジェンスの結果は、最終的な売買価格に影響を与えるとご説明しました。
こう聞くと重要なのは財務・税務、ビジネスデューデリジェンスで法務デューデリジェンスは形式的なもので、さほど重要ではないと勘違いするかもしれませんが、大間違いです。
財務・税務、ビジネスデューデリジェンスに問題があり、売り手が希望した売買価格が下がったとしても、両者が合意すれば譲渡契約は成立します。
しかし、法務デューデリジェンスの結果、重大な問題が発覚した場合、その問題がクリティカルとなり、一気にディールブレイク(交渉破断)してしまいます。
法務デューデリジェンスの結果は、それだけ重要であり、問題が発覚した場合、その問題が致命傷になる事が多いのです。
ここでは、どのデューデリジェンスも重要であり、リスク回避のためにも必ず実施するという事を、覚えておいてください。
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まとめ
以上、デューデリジェンス(買収監査)についてをご説明しました。
まとめますと、
- デューデリジェンスとは買収監査とも呼ばれ、売り手先から提供された資料に基づいて調査を行い、その会社の実態や問題点を監査すること。
- デューデリジェンスには各種のデューデリジェンスが存在するが、主に財務・税務、法務、ビジネスデューデリジェンスを実施することが一般的である。
- 各デューデリジェンスを実施するのは、税理士・公認会計士、弁護士など各分野の専門家が行う。
- そして、どのデューデリジェンスも重要で報酬を渋らず必ず実施すること!
となります。
今回は、買い手側よりの話題となりましたが、最後に売り手側の話題もしたいと思います。
買い手先より意向表明が提出されると、両者は独占交渉に入り、基本合意書を締結するわけです。
いよいよデューデリジェンス(買収監査)に入るとなると、売り手先の代表者の顔が青ざめる事が度々あります。
まだ、買収監査を受けてもいないのにです。
日頃、不摂生している方が、人間ドックを受ける前に緊張してくるのと同じで、急に元気がなくなるようです。
ですが、ご安心ください。
デューデリジェンスは、多少の何かが出てくることが当たり前で、結果、重大な問題点は何も出てこないことの方が大多数です。
多少の何かがと言っても、監査する側は、報酬も発生するので、何かしらの重箱はつつくものです。
彼らは依頼を受けたので監査して意見書を出すわけで、何の悪気もありません。
そんなに硬くならず、どっしり構えていれば問題ないという事を覚えておいてください。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
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