スモールM&Aにおける
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何事においてもメリット・デメリットは存在しますが、それはスモールM&Aにおいても例外ではありません。
ここでは、スモールM&Aにおける売り手と買い手、双方のメリット・デメリットについて解説致します。
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スモールM&Aにおける売り手のメリット・デメリット
スモールM&Aにおける売り手のメリット・デメリットを解説致します。
スモールM&Aにおける売り手のメリット
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会社や事業を継続できる
小規模事業や個人事業であっても廃業してしまうと、周りへの影響は少なからず出てしまいます。得意先、取引先への影響も大きいですが、特に従業員は新たな職場を探さなければなりません。
しかし、スモールM&Aが成立すれば、経営者が一生懸命続けてきた会社や事業の継続も可能になりますし、従業員の雇用も守れます。
ただ、廃業してしまうのではなく、後世につなげるというのも代表者としての役目なのです。 -
赤字や債務超過でも売却可能
赤字や債務超過など財務的にマイナスな側面があったとしても、スモールM&Aにおいて、譲渡契約が成立することは珍しいことではありません。
むしろ経営手腕のある代表者が購入し、経営立て直しに成功するケースも怏々としてあるのです。
購入の動機は何も、儲かっているからだけとは限らないのです。
つまり、人員確保や、販路拡大、多角化戦略などのシナジー効果を検討材料としている買い手候補も多くいるということです。
また、借入時の個人保証も肩代わりしてもらえるケースもあります。
重要なのは経営状態が悪いから絶対に売却なんてできないとご自分で判断しないことです。
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廃業コストがかからない
事業を廃業する際は廃業コストがかかります。
中小企業、個人事業であっても数百万円かかる場合があります。
しかし、事業の売却が無事に済めば廃業コストをかけることなく引退することが可能になります。
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売却代金、創業者利益の獲得
上記でも述べた通り、廃業コストをかけずに引退できるわけですが、それにプラスして、売却代金を手にすることができます。
事業を閉める(実際は引退する)と同時にコストがかからず、逆に退職金がもらえるというイメージです。
また、起業家であれば、IPOを果たすことは叶わなかったものの、財務内容がいい場合、売却することによる創業者利益が得られます。
そして、その創業者利益を利用し新たなビジネスを立ち上げることも可能です。
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通常のM&Aよりも成約までの期間が短い
スモールM&Aとはその名のとおり、通常のM&Aよりも規模の小さいM&Aです。
買収後の計画も立てやすいので、買い手側にとっても買収可否の意思決定を早く下せます。早い場合、半年かからず成約することもあります。
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スモールM&Aにおける売り手のデメリット
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売買交渉で主導権を取られるリスクがある
スモールM&Aにおける売り手は当然、小規模事業、個人事業の経営者なのですが、買い手候補が大手企業や優良中小企業の場合があります。
彼らは何度も買収を繰り返している、いわゆるストロングバイヤーの可能性があり、経験も豊富なため、交渉において完全に主導権を取られることがあります。
売り手も「まあ、損が出ず、いくらかでも値段が付けばいいか」と、考えてしまう方も多く、なすがままにされてしまいます。
売り手はM&A交渉は初めてという方が90%以上なので、当然どう交渉したらいいかなどは分かりませんし、資料の開示や契約書類の取り交わしなども同様です。
そこをつけこまれて、買い手有利に交渉をすすめられ、買いたたかれてしまう可能性が高いのです。
これの対処法としては、やはりM&AプロであるスモールM&Aアドバイザーに依頼することをおすすめします。
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全ての売却条件を通してもらうことは難しい
売買価格以外にも、売却後の旧代表者や、従業員の待遇、個人保証の肩代わりなど、条件は様々あるわけですが、売り手から提示した全ての条件を買い手にのんでもらうことは非常に難しいです。買い手にも様々な、事情があるからです。
このデメリットは、買い手のデメリットでもあります。
むしろ、お互いの提示した条件下の中で、どうやって折り合いをつけて譲渡契約書にサインするかを模索する方が建設的です。
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売却後は買い手の統制下で経営が遂行される
当然の話、経営権は買い手に移ります。
買収後も旧代表者が、そのまま代表や役員として残るケースもありますが、運営は買い手がコントロールするので、買い手の経営方針に従わなければなりません。
デメリットともとれますが、M&A完了後、買い手の言うとおりに運営してみると業績が好転し、役員報酬や給与が上がったというケースもありメリットともとれます。
むしろ、ご自分が経営してきた事業を、新たな経営者がどう発展させて行くのかを、
見守る姿勢が必要ではないのでしょうか。
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スモールM&Aにおける買い手のメリット・デメリット
スモールM&Aにおける買い手のメリット・デメリットを解説致します。
スモールM&Aにおける買い手のメリット
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投資金額を回収し易い
買収したからにはもちろん、買収した事業で儲けを出し続け、投資額をペイし、さらなる儲けをださなければ何の意味もありません。
一般的にスモールM&Aの場合、売買金額の算定(バリュエーション)は年倍法で算定します。
※年倍法 時価純資産+年間の簡易CF×1~3年(いわゆる「のれん」)=売却価格
その売却価格をいち早く回収し、プラスに転じなければいけません。
スモールM&Aの場合、買収金額が高くはないですし、年間の利益もM&Aによるシナジー効果や単体ではなかなかできなかった財務レバレッジをうまく利用すれば、投資回収のスピードが上がります。
買収後は親会社のリソースをドンドンつぎ込み、拡大に次ぐ拡大に拍車をかけるべきです。
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環境や経営資源が整っている状態で、独立起業することが可能
脱サラし独立起業をする場合、事業計画を立て、それに沿って人員の確保や設備の導入、マーケットの開拓など行いますが、個人でも手の届く金額で売買されているスモールM&A下では、環境や経営資源が整った状態で、独立起業することができます。
起業を検討されている方は、ご自分の起業したい業種の案件が売りに出ていたら、売り手にアプローチし、一度ご面談することをおすすめします。
条件などが合わず、交渉がブレイクしたとしても次回検討の際にその経験が必ず役立つからです。
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数を打てる
大手企業の買収劇ばかりメディアで報道されているので、意外と知られていませんが、優良な中小企業も事業拡大戦略にM&Aを何度も繰り返しています。
つまり一度だけではなく、複数回、企業買収を行っている中小企業も数多く存在するのです。通常のM&Aの買収金額のサイズは大体5億~10億円といったところですが、スモールM&Aの場合、1億円を下回る案件であり、1,000万円を下回ることも珍しくありません。
買い手としてはサイズの小さい案件を複数社買収し、リスクを分散することが可能になるのです。まさに投資と一緒でポートフォリオを作成し一つの事業が減退しても儲かっている事業が赤字を帳消しにし、尚且つ黒字にさせることができます。
スモールM&Aの場合、それが通常のM&Aよりも戦略として取りやすいのです。
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スモールM&Aにおける買い手のデメリット
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簿外債務の発覚や、情報不足のリスク
小規模事業、個人事業の経営者の場合、毎月の会計処理を税理士事務所にまかせっきりだったり、自社で処理していても管理体制に問題があり、経営者自身が自社の実態を把握していないこともあります。
帳簿上に出ていない債務も経理担当者しか知らず、交渉のテーブルに乗らないことや、重大な事実を知りえないままで事業を購入することは大変なリスクをしょい込むこととなります。
特に、係争中の案件などは注意が必要です。
このリスクについてはデューデリジェンス(買収監査)のところで明るみに出ることが多いですが、完全に把握するということは不可能です。
M&Aでの買収にはある程度、腹をくくる覚悟は必要なのです。
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人材、顧客、取引先が離れてしまう
買収後、新たな代表者とのそりが合わず、キーマンが辞職したり、大量に従業員が退職してしまうケースもあります。
また、顧客や取引先が旧代表者とのつながりで取引を続けていたが、会社売却とともに離れてしまうことも残念ながらあるのです。
ただ、これについてのリスク回避方法は、買収後も旧経営者が元気な限り、何らかの形で会社に残っていただくことをおすすめします。
買収交渉の中でもここの部分は綿密に協議し、条件を明確にしておきましょう。
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良い案件がなかなか見つからない
スモールM&A市場は非常に活況です。
圧倒的に購入希望の方が多く、売却希望が出てきても優良案件はすぐに売れてしまいます。本業でご多忙というのも、もっともですが、本気で買収を行いたいのであればそれなりのレスポンスが必要です。
常にアンテナを張りつつ、希望の案件が出てきたらすぐにでもスモールM&Aに動ける環境を整えておくことが重要です。
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まとめ
以上、スモールM&Aおけるメリット・デメリットを解説致しました。
スモールM&Aを検討する場合は、上記をよく踏まえていただき、ご両者とも納得のいくスモールM&Aの実行に役立てていただけますと幸いです。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
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