スモールM&A、6つの増加理由を解説。 |
スモールM&Aの年間の成約件数は年々増加傾向にあります。
2019年は約4,000件の中小企業のM&Aが成立しているようですが、非公開で成立している案件も含めるとさらに件数は増加します。
ではなぜ近年スモールM&Aが増加傾向にあるのでしょうか?
ここではスモールM&A、6つの増加理由を解説致します。
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スモールM&A、6つの増加理由
スモールM&A、6つの増加理由を解説して行きます。
1⃣小規模事業、個人事業の経営者の高齢化
やはり経営者の高齢化が進んでいるということが筆頭に挙げられます。
小規模事業、個人事業の経営者にとって後継者不足は深刻な問題となっています。
どんなに黒字の企業でも後継者がいなければ、当然事業は継続できません。
そんな時に有効なのはメリットの多いM&Aなのです。
第三者に会社や事業を売却することで、事業の継続が可能となり、従業員の雇用も維持できます。
つまり事業承継問題解消のため、M&Aを出口戦略として利用する小規模事業、個人事業の経営者が増えているということです。
2⃣スモールM&Aの売り手への情報拡充
20年ほど前まではM&Aと聞くと大手企業のためにある言葉だと思われていましたが、
ここ10数年では中小企業の事業承継対策として、そして近年ではスモールM&Aとして
小規模事業、個人事業の事業承継対策にも活発に利用されるようになりました。
その要因としてテレビや新聞、経済雑誌などを通じて小規模事業、個人事業でも売却可能という情報が経営者側にも届き始めたからです。
以前までは、「うちみたいな小さな会社は売っても二束三文にしかならない」や、「売りに出しても誰も買いたいなんて言わないだろう」と、考え自分の代で清算してしまうケースもありました。
しかし、近年ではメディアを通じてM&Aの情報が身近に入ってくるようになり、事業承継問題の解決策としてスモールM&Aを利用するようになったのです。
3⃣スモールM&Aの買い手の多様化
M&Aの買い手側というと大手企業や、中小企業の中でも内部留保の厚い企業というイメージがあるでしょう。
しかし、スモールM&Aの場合、上記二者のほかに、個人、特に会社に勤務している個人も買い手として参入してきます。
スモールM&Aにおいての売却金額としては、1,000万円を下回るケースも珍しくありません。
30~40代の敏腕サラリーマンが事業を買い取り自分のやり方で事業を拡大させていくや、シニア退職者が事業を買い取り、気ままにのんびり小規模事業を営むなど、理由は様々ですが、個人が会社や事業を買う時代はすでに到来しています。
この動きが、売り手側の事業をM&A市場に出す動機付けにもなっているのもの確かです。
4⃣M&Aマッチングサイトの急増
M&Aを検討する場合、M&A仲介会社や税理士事務所、取引金融機関が主な相談窓口ですが、近年ではM&Aのマッチングサイトも急増してきました。
M&Aマッチングサイトとは、一般的に事業の売り手がマッチングサイトに名前を伏せたうえ、大まかな財務情報や会社概要を掲載し、興味を持った購入希望先がアプローチし、サイト内でNDA(秘密保持契約書)を締結したうえで、より詳細な情報を提示し売買交渉を行い最終譲渡契約まで完結させるサイトです。
基本、売り手側には手数料は発生せず、買い手側が最終譲渡契約後に買収金額の30%
程度をマッチングサイト運営会社に支払います。
勿論、オークションサイトのようにクリック一つで事業を購入できるというものではなく、ある程度の交渉が済んだ後は直接トップ面談を行い、より綿密な価格や条件の交渉を経て、最終譲渡契約書に両者がサインして手続きを完了させます。
つまり、こういったM&Aのプラットホームを使用すれば個人間での事業の売買が自分たちで完結できる時代となったのです。
M&Aの手引きもM&Aマッチングサイトに掲載されていたり、各種契約書の雛形もダウンロードができるようになっています。
手引きや各種契約書の雛形が用意されているからと言って慣れないM&A手続きを個人間で成立させるのは一抹の不安もあるでしょうが、スモールM&Aにおいては気軽に利用できるというメリットがあります。
M&Aマッチングサイトによっても手数料や運営方法が多少異なってきますので、マッチングサイトでのM&Aを検討される場合は、サイトの比較をしてみると良いでしょう。
5⃣IPOではなくM&Aでの売却
ベンチャー起業家の最大の目的は起業した会社のIPOを果たし、多額の創業者利益を得ることですが、もちろん容易なことではありませんし、かなりの時間も必要です。
ただ、創業者利益を得る方法はIPOだけではありません。
M&Aにより自分の持っている未上場株式を売却することにより創業者利益を得ることも可能です。
IPOと比較するとM&Aでの売却には時間も労力もかからず、短期間で済みます。
M&Aによる創業者利益を得ることで、セミリタイヤする起業家も増加しており、
スモールM&Aの増加要因になっているのです。
6⃣スモールM&Aアドバイザーの増員
小規模事業、個人事業の経営者とのかかわりの深い税理士や金融機関の社員、また、税理士事務所、金融機関出身者が、民間企業が開催するスモールM&Aアドバイザー養成講座を受講し、スキルやノウハウを学び、スモールM&Aアドバイザーとしてビジネスを行う企業が増えています。
つまりスモールM&Aを潤滑に進めるための専門家が増員しているのです。
インターネットでM&Aの相談窓口を検索すると多くのM&A仲介会社のサイトが出てきます。
サービス内容や報酬金額が異なるだけではなく、専門業種があったり、地域密着型など多種多様なM&A仲介業者が存在します。
ホームページを閲覧し、自社と相性のよさそうなM&A仲介会社にご相談するか、税理士事務所や金融機関にM&A仲介会社の紹介を依頼するとよいでしょう。
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まとめ
以上スモールM&Aの増加理由、6点を解説致しました。
- スモールM&A、6つの増加理由
- 小規模事業、個人事業の経営者の高齢化
- スモールM&Aの売り手への情報拡充
- スモールM&Aの買い手の多様化
- M&Aマッチングサイトの急増
- IPOではなくM&Aでの売却
- スモールM&Aアドバイザーの増員
ここで重要なのは、自社はM&Aなんてたいそうな事とは無縁だとご自分で決めつけないことです。
赤字の企業でもビジネスモデルや商材、商圏、人員の拡大目的などで、購入したいという企業が存在するのです。
まずは、スモールM&Aアドバイザーや税理士事務所、金融機関などに、スモールM&Aが可能かどうかをご相談することを強くおすすめいたします。
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