中小M&Aガイドライン(第3版)遵守の宣言について

続々 中小M&Aガイドライン(第3版)遵守宣言とは? 

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続々 中小M&Aガイドライン(第3版)遵守宣言

小規模M&Aアドバイザーが徹底解説

中小M&Aガイドライン(第3版)遵守宣言を見てみよう! 小規模M&Aアドバイザーが徹底解説!

前回、前々回と「中小M&Aガイドライン(第3版)遵守宣言(1~3)」について解説しましたが、今回はその続きとして、「不適切な譲り受け側の排除に向けた取組(24)」「仲介契約・FA契約の契約条項に関する留意点(25~33)」「仲介者における利益相反のリスクと現実的な対応策(34~41)」について解説します。

前回、前々回も是非、ご覧下さい。

中小M&Aガイドライン(第3版)遵守宣言とは?

続 中小M&Aガイドライン(第3版)遵守宣言とは? 

弊社は、「M&A支援機関登録制度」に、登録されたM&A支援専門家です。

登録支援機関データベース

中小企業庁「M&A支援機関に係る登録制度」への登録について

中小M&Aガイドライン(第3版)遵守の宣言について

今回も、「M&A支援機関登録制度」に登録しているM&A支援専門家が遵守している事項の内容と、それに対する解説をして行きます。

それでは、解説をはじめて参ります。

中小M&Aガイドライン(第3版)遵守宣言

中小M&Aガイドライン(第3版)遵守宣言とは?

少々、前々回のおさらいです。

まずは、「中小M&Aガイドライン(第3版)遵守宣言」とは何かについて見ていきましょう。

「中小M&Aガイドライン(第3版)遵守宣言」とは、

「M&A支援機関(主にM&Aアドバイザーのこと)」が、「M&A支援機関登録制度」に登録・継続する際、「中小M&Aガイドライン(2025年1月現在 第3版)」に基づいた事項を遵守宣言すること

です。

M&A支援機関登録制度の登録・継続には、もちろん審査もあり、M&A支援専門家は、ガイドラインを宣言するだけではなく当然、遵守する事が求められ、これに反したことを行えば、本制度からの登録取り消しという罰則もあります。

こういった厳しい規定もあることから、本制度に登録されているM&A支援専門家は信頼性・信用性もあり、消費者がM&Aアドバイザーを選定する際の選定基準ともなっています。

M&Aアドバイザーが、「M&A支援機関登録制度」に登録されているか否かは、「M&A支援機関登録制度データベース」で確認ができます。

▼M&A支援機関登録制度データベース

登録支援機関データベース

また、「中小M&Aガイドライン(第3版)遵守宣言」は、HPまたは会社概要資料に必ず掲載されているので、M&Aアドバイザーを選定する際には、確認をするようにして下さい。

▼弊社遵守宣言

中小M&Aガイドライン(第3版)遵守の宣言について

※もしも記載がなければ、本制度の登録がないまたは、登録していても、本制度を遵守していないという事になりますので、M&Aアドバイザー選定の際にはご注意ください。

中小M&Aガイドライン(第3版)遵守事項

次に、本制度に登録されているM&A支援専門家が遵守宣言している「中小M&Aガイドライン(第3版)遵守事項」の目次を見ていきましょう。

  • 支援の質の確保・向上に向けた取組(1~6)※
  • M&A プロセスにおける具体的な行動指針(7~23)
  • 不適切な譲り受け側の排除に向けた取組(24)
  • 仲介契約・FA契約の契約条項に関する留意点(25~33)
  • 仲介者における利益相反のリスクと現実的な対応策(34~41)
  • その他(42)(※遵守事項番号)

と、6つのセクションに分かれております。

各セクション、いくつかの遵守事項があり、非常に読むのも大変です。

前回までで、「中小M&Aガイドライン(第3版)遵守事項(1~23)」について解説しましたが、今回は、「中小M&Aガイドライン(第3版)遵守事項(25~41)」について、本編の最終回として解説して行きます。

前回、前々回も是非、ご覧下さい。

中小M&Aガイドライン(第3版)遵守宣言とは?

続 中小M&Aガイドライン(第3版)遵守宣言とは? 

不適切な譲り受け側の排除に向けた取組(24)

では、実際の「不適切な譲り受け側の排除に向けた取組(24)」 を、見ていきましょう。

●不適切な譲り受け側の排除に向けた取組
24 不適切な譲り受け側を最大限排除する観点から、以下の取組を実施します。
· 譲り受け側が、最終契約を履行し、対象事業を引き継ぐ意思・能力を有しているか確認する観点から譲り受け側に対する調査を実施します。
· その上で、依頼者となる譲り渡し側に対しては、仲介契約・FA契約締結前(M&A プラットフォーマーの場合には、M&A プラットフォームへの登録前)に、譲り受け側の調査の概要について、説明します。具体的には、ガイドライン第2章Ⅱ6(1)の表の「調査項目」ごとに、実施する調査の内容を検討し、依頼者への説明を行います。
① 詳細な調査の実施内容については、譲り受け側の財務状況及び事業実態の確認、譲り受け側(代表者、役員及び株主等の関係者を含む。)の反社会的勢力への該当性や過去にM&Aに関するトラブルを生じさせたかといったコンプライアンス面での確認が想定され、これらの観点から適切に調査を実施します。特に財務状況については、想定される程度の譲渡対価を調達可能であるかといった観点やM&A の実施後に対象事業を継続して運営できる状況にあるかといった観点から適切な確認を行います。
② 調査のタイミングとしては、譲り受け側との仲介契約・FA 契約締結前(M&Aプラットフォーマーの場合には、M&A プラットフォームへの登録前)に加え、M&Aのプロセスが進捗する過程でも適切に必要な調査を実施し、最終契約の締結までに譲り受け側について十分に確認します。
③ 調査の方法としては、譲り受け側の税務申告書や商業登記簿の確認、これらに記載のある代表者、役員及び株主等の関係者も含めたコンプライアンスチェックが想定されますが、特に譲り渡し側が債務超過の場合等、M&A の成立において譲り受け側の信用が特に重要となるケースにおいては特に慎重に調査を実施し、この場合においては譲り受け側の財務状況について、少なくとも決算公告や税務申告書の確認により適切な確認を実施します。
· 過去に支援を行った譲り受け側についての情報提供や業界内での情報共有の仕組み等により最終契約の不履行等の不適切な譲り受け側に係る情報を取得した場合には、当該情報を担当者レベルに留めず、組織的に共有し、当該譲り受け側に対するマッチング支援の提供を慎重に検討するための体制を構築します。
· 当該譲り受け側への新たな支援の実施については、取得した情報の内容を精査及び同様の行為による譲り渡し側への不利益の考慮により慎重に検討の上、仮に実施する場合には、組織的な判断(明確化された基準の下での一担当者限りではなく組織的なプロセスによる判断であって、組織的に記録され、事後に検証可能であるものをいう。)により行います。
· (仲介者の場合)譲り受け側の不適切な行為に係る情報を得ている場合には、譲り渡し側に対して開示します。

前回の記事でも記載しましたが、近年、中小M&Aにおいてのトラブルが多発しております。

特に、買い手側の譲渡代金の未決済(または一部の支払いのみ)や、個人連帯保証の解除・変更の不実行など、契約の不履行も目立ち、問題となっています。

これを未然に防止するために、M&Aアドバイザーは、不適切な譲り受け側の排除をして行かなければいけません。

「不適切な譲り受け側の排除に向けた取組(24)」の内容は、その調査方法などとなっています。

どんな調査おいても、限りはありますが、何の調査も行わずに買い手候補を紹介してくるM&Aアドバイザーは、当然のことながら問題があります。

業務委託契約の締結の際には、どこまでの調査を入れるのかなども確認した上で、M&Aアドバイザーを選定するようにしましょう。

仲介契約・FA契約の契約条項に関する留意点(25~33)

次に、「仲介契約・FA契約の契約条項に関する留意点(25~33)」 を、見ていきましょう。

●専任条項については、特に以下の点を遵守して、行動します。

25 専任条項を設ける場合、その対象範囲を可能な限り限定します。具体的には、依頼者が他の支援機関の意見を求めたい部分を仲介者・FAに対して明確にした上、これを妨げるべき合理的な理由がない場合には、依頼者に対し、他の支援機関に対してセカンド・オピニオンを求めることを許容します。ただし、相手方当事者に関する情報の開示を禁止したり、相談先を法令上又は契約上の秘密保持義務がある者や事業承継・引継ぎ支援センター等の公的機関に限定したりする等、情報管理に配慮します。

26 専任条項を設ける場合には、契約期間を最長でも6か月~1年以内を目安として定めます。

27 依頼者が任意の時点で仲介契約・FA契約を中途解約できることを明記する条項等(口頭での明言も含む。)を設けます。

●直接交渉の制限に関する条項については、特に以下の点を遵守して、行動します。

28 直接交渉が制限される候補先は、当該M&A専門業者が関与・接触し、紹介した候補先のみに限定します(依頼者が「自ら候補先を発見しないこと」及び「自ら発見した候補先と直接交渉しないこと(依頼者が発見した候補先との M&A 成立に向けた支援をM&A 専門業者に依頼する場合を想定)」を明示的に了解している場合を除く。)。

29 直接交渉が制限される交渉は、依頼者と候補先の M&A に関する目的で行われるものに限定します。

30 直接交渉の制限に関する条項の有効期間は、仲介契約・FA 契約が終了するまでに限定します。

●テール条項については、特に以下の点を遵守して、行動します。

31 テール期間は最長でも2年~3年以内を目安とします。

32 テール条項の対象は、あくまで当該M&A専門業者が関与・接触した譲り受け側であって、譲り渡し側に対して紹介された者のみに限定する。具体的には、ロングリスト/ショートリストやノンネーム・シート(ティーザー)の提示のみにとどまる場合はテール条項の対象としません。少なくともネームクリア(譲り受け側に対して企業概要書を送付し、譲り渡し側の名称を開示すること。)が行われ、譲り渡し側に対して紹介された譲り受け側に限定します。
※なお、ガイドラインにおいてはテール条項の対象としては、ネームクリアが行われ、譲り渡し側に対して紹介された譲り受け側に限定すべきことを示しており、これを満たす場合においてすべからくテール条項の対象について有効性を認めるものではありません。

33 仲介契約・FA契約において専任条項が設けられていない場合に、依頼者が複数のM&A専門業者から支援を受け、結果として複数のM&A 専門業者から同一の候補先の紹介を受けた場合、依頼者から成約に向けて支援を受けるM&A専門業者として選択されなかった場合、テール条項を根拠とした手数料を請求しません。

ここで肝となる部分は、直接交渉「28」と、テール条項「32」についてです。

どちらも候補先の限定についての記載となりますが、これを限定していないM&Aアドバイザーも存在します。

候補先が無限定となると、ロングリストを見せられただけや、軽く口頭で紹介を受けた先さえも、直接交渉の禁止先とされ、非専任での契約であった場合でも、他のアドバイザーの支援の下、M&Aが成約した場合、テール条項によりM&A報酬を請求される可能性さえあります。

これについては、非専任条項「33」でこの弊害を回避する旨が記載せれているわけですが、業務委託契約書に限定事項の記載がない場合は、注意が必要となるのでご留意ください。

仲介者における利益相反のリスクと現実的な対応策(34~41)

最後に、「仲介者における利益相反のリスクと現実的な対応策(34~41)」 を、見ていきましょう。

●仲介業務を行う場合、特に以下の点を遵守して、行動します。

34 仲介契約締結前に、譲り渡し側・譲り受け側の両当事者と仲介契約を締結する仲介者であるということ(特に、仲介契約において、両当事者から手数料を受領することが定められている場合には、その旨)を、両当事者に伝えます。

35 仲介契約締結に当たり、予め、両当事者間において利益の対立が想定される事項について、各当事者に対し、明示的に説明を行います。また、別途、両当事者間における利益の対立が想定される事項に係る情報(一方当事者にとってのみ有利又は不利な情報を含む。)を認識した場合には、この点に関する情報を、各当事者に対し、適時に明示的に開示します。

36 両当事者から依頼を受ける以上、両当事者に対して中立・公平でなければならず、不当に一方当事者の利益又は不利益となるような利益相反行為を行いません。

37 特に、仲介者自身又は第三者の利益を図る目的で当該利益相反行為を決して行わず、仲介契約書において、少なくとも、以下の行為を行わない旨を仲介者の義務として定めます。
· 譲り受け側から追加で手数料を取得し、当該譲り受け側に便宜を図る行為(当事者のニーズに反したマッチングの優先的実施又は不当に低額な譲渡価額への誘導等)
· リピーターとなる依頼者を優遇し、当該依頼者に便宜を図る行為(当事者のニーズに反したマッチングの優先的実施又は不当に低額な譲渡価額への誘導等)
· 譲り渡し側(譲り受け側)の希望した譲渡額よりも高い(低い)譲渡額でM&A が成立した場合、譲り渡し側(譲り受け側)に対し、正規の手数料とは別に、希望した譲渡額と成立した譲渡額の差分の一定割合を報酬として要求する行為
· 一方当事者から伝達を求められた事項を他方当事者に対して伝達せず、又は一方当事者が実際には告げていない事項を偽って他方当事者に対して伝達する行為
· 一方当事者にとってのみ有利又は不利な情報を認識した場合に、当該情報を当該当事者に対して伝達せず、秘匿する行為

38 確定的なバリュエーションを実施せず、依頼者に対し、必要に応じて士業等専門家等の意見を求めるよう伝えます。

39 参考資料として自ら簡易に算定(簡易評価)した、概算額・暫定額としてのバリュエーションの結果を両当事者に示す場合には、以下の点を両当事者に対して明示します。
· あくまで確定的なバリュエーションを実施したものではなく、参考資料として簡易に算定したものであるということ
· 当該簡易評価の際に一方当事者の意向・意見等を考慮した場合、当該意向・意見等の内容
· 必要に応じて士業等専門家等の意見を求めることができること

40 交渉においては、一方当事者の利益のみを図ることなく、中立性・公平性をもって、両当事者の利益の実現を図ります。

41 デュー・ディリジェンスを自ら実施せず、デュー・ディリジェンス報告書の内容に係る結論を決定しないこととし、依頼者に対し、必要に応じて士業等専門家等の意見を求めるよう伝えます。

内容としては、利益相反行為禁止についてのごく常識的なものとなっていますが、「37」について深掘りした解説をします。

仲介契約の場合、M&Aアドバイザーは、売り手側・買い手側に対しM&Aアドバイザリー業務を提供し、両者からM&A報酬をいただくわけですが、どちらに対しても偏ったサービスの提供や、便宜を図ること、又はM&A報酬以外の金銭を別途徴求する事は禁止されています。

これを認めてしまうと、事実と異なる情報を提供され、取引における判断が歪んでしまうだけではなく、公正なM&A取引が阻害される可能性もあります。

また、仲介契約の場合、重要事項説明書には、相手方から受領するM&A報酬も記載されることが義務づけられているだけではなく、増額や減額した際も追加で報告する必要があります。

この点が曖昧となっているM&Aアドバイザーであれば、やはり信用性は低く注意が必要なため、業務委託契約の締結は、見送られた方が良いでしょう。

まとめ

以上、「中小M&Aガイドライン(第3版)遵守事項・不適切な譲り受け側の排除に向けた取組(24)・仲介契約・FA契約の契約条項に関する留意点(25~33)・仲介者における利益相反のリスクと現実的な対応策(34~41)」についての解説でした。

今回も非常に長くなってしまいましたね。

「中小M&Aガイドライン(第3版)遵守事項」については、本編で以上となりますが、注意点などの詳細をもう少し解説したいところもあるので、今後、個別論点として別の記事で解説したいと考えておりますので、次回記事もご覧いただけますと幸いでございます。

投稿する記事が、ご覧いただいてる中小企業経営者のみな様の安全取引や最良のM&Aアドバイザーの選定にお役立ていただけたら幸いでございます。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

中小企業のM&Aは、売り手様・買い手様の一期一会のご縁によりご成約されるものです。

ご覧いただいている方に、良縁がありますよう祈念させていただきます。

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