中小M&Aガイドライン(第3版)遵守の宣言について

続 中小M&Aガイドライン(第3版)遵守宣言とは? 

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続 中小M&Aガイドライン(第3版)遵守宣言

小規模M&Aアドバイザーが徹底解説

中小M&Aガイドライン(第3版)遵守宣言を見てみよう! 小規模M&Aアドバイザーが徹底解説!

前回、「中小M&Aガイドライン(第3版)遵守宣言と、遵守事項である支援の質の確保・向上に向けた取組(1~6)」について解説しましたが、今回はその続きとして、「M&A プロセスにおける具体的な行動指針(7~23)」について解説します。

前回も是非、ご覧下さい。

中小M&Aガイドライン(第3版)遵守宣言とは?

弊社は、「M&A支援機関登録制度」に、登録されたM&A支援専門家です。

登録支援機関データベース

中小企業庁「M&A支援機関に係る登録制度」への登録について

中小M&Aガイドライン(第3版)遵守の宣言について

今回も、「M&A支援機関登録制度」に登録しているM&A支援専門家が遵守している事項の内容と、それに対する解説をして行きますが、遵守事項は非常に長いので何度かに分けて解説して行きます。

それでは、解説をはじめて参ります。

中小M&Aガイドライン(第3版)遵守宣言

中小M&Aガイドライン(第3版)遵守宣言とは?

少々、前回のおさらいです。

まずは、「中小M&Aガイドライン(第3版)遵守宣言」とは何かについて見ていきましょう。

「中小M&Aガイドライン(第3版)遵守宣言」とは、

「M&A支援機関(主にM&Aアドバイザーのこと)」が、「M&A支援機関登録制度」に登録・継続する際、「中小M&Aガイドライン(2025年1月現在 第3版)」に基づいた事項を遵守宣言すること

です。

M&A支援機関登録制度の登録・継続には、もちろん審査もあり、M&A支援専門家は、ガイドラインを宣言するだけではなく当然、遵守する事が求められ、これに反したことを行えば、本制度からの登録取り消しという罰則もあります。

こういった厳しい規定もあることから、本制度に登録されているM&A支援専門家は信頼性・信用性もあり、消費者がM&Aアドバイザーを選定する際の選定基準ともなっています。

M&Aアドバイザーが、「M&A支援機関登録制度」に登録されているか否かは、「M&A支援機関登録制度データベース」で確認ができます。

▼M&A支援機関登録制度データベース

登録支援機関データベース

また、「中小M&Aガイドライン(第3版)遵守宣言」は、HPまたは会社概要資料に必ず掲載されているので、M&Aアドバイザーを選定する際には、確認をするようにして下さい。

▼弊社遵守宣言

中小M&Aガイドライン(第3版)遵守の宣言について

※もしも記載がなければ、本制度の登録がないまたは、登録していても、本制度を遵守していないという事になりますので、M&Aアドバイザー選定の際にはご注意ください。

中小M&Aガイドライン(第3版)遵守事項

次に、本制度に登録されているM&A支援専門家が遵守宣言している「中小M&Aガイドライン(第3版)遵守事項」の目次を見ていきましょう。

  • 支援の質の確保・向上に向けた取組(1~6)※
  • M&A プロセスにおける具体的な行動指針(7~23)
  • 不適切な譲り受け側の排除に向けた取組(24)
  • 仲介契約・FA契約の契約条項に関する留意点(25~33)
  • 仲介者における利益相反のリスクと現実的な対応策(34~41)
  • その他(42)(※遵守事項番号)

と、6つのセクションに分かれております。

各セクション、いくつかの遵守事項があり、非常に読むのも大変です。

前回は、「中小M&Aガイドライン(第3版)遵守事項・支援の質の確保・向上に向けた取組(1~6)」について解説しましたが、今回は、「M&A プロセスにおける具体的な行動指針(7~23)」について、解説して行きます。

前回も是非、ご覧下さい。

中小M&Aガイドライン(第3版)遵守宣言とは?

※それ以降は順次投稿して行きたいと思います。

中小M&Aガイドライン(第3版)遵守事項・M&A プロセスにおける具体的な行動指針(7~23)

では、実際の「中小M&Aガイドライン(第3版)遵守事項・支援の質の確保・M&A プロセスにおける具体的な行動指針(7~23)」 を、見ていきましょう。

●M&A プロセスにおける具体的な行動指針
◆意思決定
7 専門的な知見に基づき、依頼者に対して実践的な提案を行い、依頼者のM&Aの意思決定を支援します。その際、以下の点に留意します。
· 想定される重要なメリット・デメリットを知り得る限り、相談者に対して明示的に説明します。
· 仲介契約・FA契約締結前における相談者の企業情報の取扱いについても、善良な管理者の注意義務(善管注意義務)を負っていることを自覚し、適切に取扱います。

8 仲介契約・FA契約締結に向けて行う広告・営業については、以下の規律を遵守した上で、適切に実施します。※なお、広告・営業の実施にあたっては、職業倫理の遵守が求められるほか、仮に、過去の対応状況や頻度等に照らして、広告・営業先の中小企業の事業活動や経営者の生活に多大な支障を与えるような過剰なものである場合には、民法上の不法行為責任を負う可能性もあることに留意する。· 広告・営業先からM&Aの実施意向がない旨、仲介契約・FA契約を締結しない旨又は引き続き広告・営業を受けることを希望しない旨の意思(以下「停止意思」という。)を表示された場合には、停止意思を拒まず、ただちに広告・営業を停止します。
· 広告・営業先から停止意思の表示があった場合については、その内容を組織的に記録し、共有します。
· 停止意思を表示した者に対し、仮に広告・営業を再開する場合には、慎重に検討の上、組織的な判断(明確化された基準の下での一担当者限りではなく組織的なプロセスによる判断であって、組織的に記録され、事後に検証可能であるものをいう。)により行います。
· 広告・営業先の中小企業の意思決定を適切に支援する観点から、下記のような広告・営業は行いません。
① 当社の名称、勧誘を行う者の氏名、仲介契約・FA 契約の締結について勧誘する目的である旨を告げずに行う広告・営業
② 仲介契約・FA契約を締結し、M&Aの手続を進めるか否かの意思決定の上で必要な時間を与えず、即時の判断を迫る広告・営業
③ M&Aの成立の可能性や条件等の仲介契約・FA契約を締結し、M&Aの手続を進めるか否かの意思決定に影響を及ぼす事項について、虚偽若しくは事実に相違する又は誤認を招くような広告・営業(例えば以下)
· 譲り受け(譲り渡し)の意向が無い企業若しくはその意向を確認していない企業又は実際には存在しない企業に関して、譲り受け(譲り渡し)の意向があると偽り又はそのように誤認させるもの
· 譲渡額の水準について過大なバリュエーションを提示するもの
· 譲り渡し側(譲り受け側)の財務状況、今後の見通し等の情報について、事実に相違する、又は実際のものよりも優良であり、若しくは有利であると誤認させるもの
· その他M&A の成立の可能性やその条件について確定的な判断を下すもの

◆仲介契約・FA契約の締結
9 業務形態の実態に合致した仲介契約あるいはFA契約を締結します。

10 契約締結前に、依頼者に対し仲介契約・FA契約に係る重要な事項(以下(1)~(17))を記載した書面を交付する等して、明確な説明を行い、依頼者の納得を得ます。
(1) 譲り渡し側・譲り受け側の両当事者と契約を締結し双方に助言する仲介者、一方当事者のみと契約を締結し一方のみに助言するFAの違いとそれぞれの特徴(仲介者として両当事者から手数料を受領する場合には、その旨も含む。)
(2) 提供する業務の範囲・内容(バリュエーション、マッチング、交渉等のプロセスごとに提供する業務の範囲・内容)
(3) 担当者の保有資格(例えば、公認会計士、税理士、中小企業診断士、弁護士、行政書士、司法書士、社会保険労務士、その他会計に関する検定(簿記検定、ビジネス会計検定等)等)、経験年数・成約実績
(4) 手数料に関する事項(算定基準、金額、最低手数料、既に支払を受けた手数料の控除、支払時期等)
(5) 手数料以外に依頼者が支払うべき費用(費用の種類、支払時期等)
(6) (仲介者の場合)相手方の手数料に関する事項(算定基準、最低手数料、支払時期等)
(7) 秘密保持に関する事項(依頼者に秘密保持義務を課す場合にはその旨、秘密保持の対象となる事実、士業等専門家や事業承継・引継ぎ支援センター等に開示する場合の秘密保持義務の一部解除等)
(8) 直接交渉の制限に関する事項(依頼者自らが候補先を発見すること及び依頼者自ら発見した候補先との直接交渉を禁止する場合にはその旨、直接交渉が制限される候補先や交渉目的の範囲等)
(9) 専任条項(セカンド・オピニオンの可否等)
(10) テール条項(テール期間、対象となるM&A等)
(11) 契約期間(契約期間、更新(期間の延長)に関する事項等)
(12) 契約の解除に関する事項及び依頼者が、仲介契約・FA契約を中途解約できることを明記する場合には、当該中途解約に関する事項
(13) 責任(免責)に関する事項(損害賠償責任が発生する要件、賠償額の範囲等)
(14) 契約終了後も効力を有する条項(該当する条項、その有効期間等)
(15) (仲介者の場合)両当事者間において利益の対立が想定される事項
(16) (譲り渡し側への説明の場合)譲り受け側に対して実施する調査の概要(調査の実施主体、財務状況に関する調査、コンプライアンスに関する調査、事業実態に関する調査等)
(17) (譲り渡し側への説明の場合)業界内での情報共有の仕組みへの参加有無(参加していない場合にはその旨)

11 手数料・提供する業務の内容や相手方の手数料に関する事項については、以下に沿って説明します。
· 手数料に関する事項を明確に説明するとともに、当該手数料を対価として自らが提供する業務の内容を説明します。具体的には成功報酬において採用される報酬率、報酬基準額(譲渡額/純資産/移動総資産等)、最低手数料の額、報酬の発生タイミング(着手金/月額報酬/中間金/成功報酬)等の手数料の算定基準や提供する具体的な業務の内容について書面を交付して(メール送付等といった電磁的方法による提供を含む。)、説明します。
· 提供する業務については、「M&Aのプロセス」ごとにどういった業務を提供するのか整理(各プロセスにおいて業務を提供しない場合には、その旨も含む。)を実施の上、書面を交付して(メール送付等といった電磁的方法による提供を含む。)、説明します。具体的にはガイドライン第2章Ⅱ4①の表の「M&Aプロセス」ごとに、提供する主な業務を整理の上、適切な説明を行います(同表の「提供する主な業務」の列には例を記載。)。
· 担当者の保有資格(例えば、公認会計士、税理士、中小企業診断士、弁護士、行政書士、司法書士、社会保険労務士、その他会計に関する検定(簿記検定、ビジネス会計検定等)等)、経験年数・成約実績について説明します。
· 契約締結前の説明において仮に依頼者から納得が得られず、仲介者・FAに対して業務や手数料に関する交渉が申し入れられた場合には、誠実に対応を検討します。
· (仲介者の場合)仲介契約締結前に、依頼者から受領する手数料に関する事項に加えて、相手方の手数料に関する事項(報酬率、報酬基準額(譲渡額/純資産/移動総資産等)、最低手数料の額、報酬の発生タイミング(着手金/月額報酬/中間金/成功報酬)等についても、相手方を含めた手数料の総額がM&Aの成立やその条件(譲渡額等)に影響を与える可能性がある旨も含め、書面を交付して(メール送付等といった電磁的方法による提供を含む。)、依頼者に対し説明します。
· 仲介契約締結前に説明した相手方の手数料を増額する場合には、増額の内容を依頼者に対し開示します。
· 依頼者の手数料を減額する場合には、当初説明した相手方の手数料を増額していない旨を依頼者に対して改めて説明します。
· (FAの場合)相手方を支援するFAから支払を受ける場合には、支払額や支払の名目、支払時期について依頼者に対し説明します。

12 上記10,11の説明は、契約を締結する権限を有する者(個人の場合には、当該個人。法人の場合には、代表者又は契約締結について委任を受けた者。)に対し行います。

13 上記10,11の説明の後、契約締結について適切に判断するために、依頼者に対し、十分な検討時間を与えます。

◆バリュエーション(企業価値評価・事業評価)
14 バリュエーションの実施に当たっては、評価の手法や前提条件等を依頼者に事前に説明し、評価の手法や価格帯についても依頼者の納得を得ます。

◆譲り受け側の選定(マッチング)
15 ネームクリア(譲り渡し側の名称を含む企業概要書等の詳細資料の開示)は、ノンネーム・シート(ティーザー)等の提示により、興味を示した候補先に対して、譲り渡し側からの同意を取得し、候補先との秘密保持契約を締結した上で、実施します。

16 譲り渡し側からの同意については、開示先となる候補先ごとに個別に同意を取得します。

17 秘密保持契約締結前の段階で、譲り渡し側に関する詳細な情報が外部に流出・漏えいしないよう注意します。

◆交渉
18 慣れない依頼者にも中小M&Aの全体像や今後の流れを可能な限り分かりやすく説明すること等により、寄り添う形で交渉をサポートします。

◆デュー・ディリジェンス(DD)
19 デュー・ディリジェンス(DD)の実施に当たっては、譲り渡し側に対し譲り受け側が要求する資料の準備を促し、サポートします。

◆最終契約の交渉・締結
20 最終契約の締結までの期間において、譲り渡し側・譲り受け側の双方が可能な限り納得し、かつM&A 成立後に当事者間でトラブルが発生するリスクを低減した形で(低減の上でリスクが残る場合は、少なくともそのリスクを当事者が理解した形で)、最終契約が締結されるように支援します。

21 最終契約後・クロージング後に当事者間での争いに発展する可能性があるリスクについて、最終契約の締結までの調整の実施や依頼者への説明を行います。具体的には、特に下記の対応を実施します。
· 譲り渡し側の経営者保証の扱いに関しては、譲り渡し側経営者と方針を相談の上、対応を検討します。
① 譲り渡し側経営者の経営者保証に係る意向を丁寧に聴取するとともに、士業等専門家(特に弁護士)や事業承継・引継ぎ支援センターへの相談や保証の提供先である金融機関等に対するM&A成立前の相談も選択肢である旨を説明します。
※ただし、金融機関等に対する事前相談については、M&A成立前に当該金融機関等に情報提供を行うことによる留意点(M&Aが成立しなかった場合における情報の扱い等)についても伝えた上で、譲り渡し側経営者の適切な判断を支援します。
② 譲り渡し側が経営者保証の扱いについて、士業等専門家や金融機関等に対して相談を希望する場合には、その実施を拒まず、仲介契約・FA契約等における秘密保持条項の対象から相談先の士業等専門家や金融機関等を除外します。さらに、譲り受け側との契約において秘密保持条項がある場合には、譲り受け側に対して、秘密保持条項の対象から相談先の士業等専門家や金融機関等を除外するよう働きかけます。
③ 最終契約における経営者保証の扱いに関して、保証の解除又は譲り受け側への移行を想定する場合には、最終契約において譲り受け側の義務として保証の解除又は移行を明確に位置付けることを検討します。具体的には、譲り受け側の義務として保証の解除又は移行を位置付けた上で、保証の解除又は移行のクロージング条件としての設定や仮に保証の移行がなされなかった場合を想定した条項(例えば、契約解除条項や補償条項等)を盛り込む方向で調整します。
※具体的な条件として、(a)譲り受け側が、最終契約締結後・クロージング前に保証の提供先の金融機関等から保証の解除又は移行が実行できるか組織的な意向表明を取得すること、(b)当該意向表明の結果、保証の解除又は移行の手続を進めることができる場合には、譲り受け側が、最終契約締結後・クロージング前に当該手続の上で必要となる書面を保証の提供先の金融機関等に提出するとともに、代表者の変更登記に係る必要書類の作成すること、を設定することが考えられます。
※その上で、万全を期す場合には、クロージング日に(必要に応じて金融機関等の同席の下で)代表者の変更登記の手続、保証の解除又は移行の手続を同時に実施することが考えられます。
※保証の解除又は移行を確実に実施するための手段としては、クロージング時に、譲り渡し側の経営者保証の対象となっている債務を譲り受け側の資力により返済し、別途譲り受け側が借り換えを行うといった方法も考えられます。
· 依頼者に対し、デュー・ディリジェンス(DD)は、譲り渡し側・譲り受け側双方にとって重要なプロセスである旨を説明します。
· 依頼者に対し、表明保証の内容はデュー・ディリジェンス(DD)の結果を踏まえて適切に検討されるべきであり、期間や責任上限が設定されていない場合や適用場面が一義的に明確でない規定が存在する場合、譲り渡し側が過大な表明保証責任を負担することとなり、当事者間で争いが生じるリスクがある旨を説明します。
· クロージング後の支払・手続、最終契約後の支払の調整・修正、最終契約後の譲り渡し側の資産・貸付金の整理、最終契約からクロージングまでの期間に関して、両当事者間での調整が十分になされていない段階において、本リスクを生じさせる条項やスキームを安易に提案せず、慎重に検討の上、仮に提案する場合には、組織的な判断(明確化された基準の下での一担当者限りではなく組織的なプロセスによる判断であって、組織的に記録され、事後に検証可能であるものをいう。)により、提案の際には、リスクの詳細とリスクが顕在化した場合に生じうる結果について可能な限り具体的に説明します。
※本リスクを認識した段階で当事者に対し、当該リスクの詳細とリスクが顕在化した場合に生じうる結果について可能な限り具体的に説明することが望ましい。

22 最終契約の締結に当たっては、契約内容に漏れがないよう依頼者に対して再度の確認を促します。
※最終契約の内容等に、最終契約締結後・クロージング後に当事者間での争いに発展する可能性があるリスク事項が含まれることになった場合、改めて最終契約締結前に当該リスク事項の詳細とリスクが顕在化した場合に生じうる結果について、可能な限り具体的に説明することが望ましい。

◆クロージング
23 クロージングに向けた具体的な段取りを整えた上で、当日には譲り受け側から譲渡対価が確実に入金されたことを確認します。

記載事項を順を追って解説します。

意思決定(7~8)

まずは、「意思決定」のセクションから見ていきましょう。

このセクションで肝となる部分は、「8」の記載です。

「仲介契約・FA契約締結に向けて行う広告・営業」についての記載となっています。

長々と記載がありますが、要するに、M&A業者が、しつこい営業(テレアポやメール、DMなど)はしてはいけないし、M&Aの勧誘にも係わらず、違う目的の営業であるようなことを説明し、誤認させてはいけない。

ましてや、事実と異なる財務情報の提供、高額で売却できるや、M&A成立の可能性や条件についてが不確かなものにもかかわらず、確定的な意見をお客様にはしませんという内容となっています。

なぜ、この部分にスポットを当てたかというと、これらに反した営業活動をしているM&A業者も多く存在し、当然のことながら信用ができないからです。(詐欺まがいの可能性もあります。)

記事をお読みいただいた方には、こういったM&A業者には、注意していただきたいと思い、お話ししましたが、もしも、こういった営業活動をしてくるM&A業者を見かけたら、以下までご連絡ください。

▼M&A支援機関登録制度・情報提供受付窓口
情報提供受付窓口

M&A支援機関の運営として、不適切な行動をしているM&A業者の情報提供を、中小企業庁側で受け付けています。

不審なM&A業者を見かけたら迷わず連絡し、悪徳業者の排除にご協力いただけますと幸いです。

仲介契約・FA契約の締結(9~13)

次に、「仲介契約・FA契約の締結」に、ついてです。

このセクションも非常に長いですが、非常に重要な事が記載せれているので、記載事項はしっかりとご覧いただきたい部分です。

また、M&Aアドバイザーとの業務委託契約(つまり、M&Aに係わるアドバイザリー契約)を締結する際、重要事項説明書も一緒に説明を受けます。

当セクションの内容は、重要事項説明書において、記載事項の中核となる内容となるため、是非、頭に入れておいていただきたい内容ともなっています。

まずは、仲介契約・FA契約の違いについて見てみましょう。

◆仲介契約
仲介者は、M&Aの当事者双方から依頼を受けます。依頼者のM&Aの相手方(候補先を含む。)に対して、依頼者に対して提供するのと同様の業務を提供します。また、依頼者からのみならず、相手方からも手数料の支払を受けることが通常です。
M&Aの当事者双方から依頼を受けているため、いずれか一方の利益のみを優先的に取り扱うことはできないものの、双方の意向を一元的に把握し、双方の共通の目的であるM&Aの成立を目指し助言や調整を行います。◆FA契約
ファイナンシャル・アドバイザー(以下「FA」といいます。)は、M&Aの当事者の一方のみから依頼を受けます。依頼者のM&Aの相手方(候補先)に対して、依頼者に対して提供するものと同様の業務を提供することはありません。

依頼者からのみ手数料の支払を受け、相手方から手数料の支払は受けません。

M&Aの当事者の一方のみから依頼を受けているため、依頼者の意向を踏まえて、依頼者にとって有利な条件でのM&Aの成立を目指し、助言や調整を行います。

まずは、これがM&Aアドバイザーとの業務委託契約の前提となる内容となります。

仲介契約かFA契約かは、M&Aアドバイザーが、どういった立場でサポートしてくれるかという重要な部分となりますので、必ず確認するようにしてください。

また、専任条項につていても非常に重要です。

業務委託契約書に専任条項があるということは、「専任媒介契約」となるということで、契約書を締結したM&Aアドバイザー以外とは、業務委託契約を締結しない(他のM&Aアドバイザーには業務を委託しない)という事になります。(もちろん、M&Aアドバイザーに不満があれば解約はできます。)

「専任」か「非専任」については、それぞれメリット・デメリットも存在しますが、この点も「仲介」・「FA」と同様に重要な部分となりますので、必ず確認しましょう。

次は、M&AアドバイザーへのM&A報酬(つまり、手数料のこと)です。

M&AアドバイザーへのM&A報酬は、ある一定の相場感はあるものの、各々異なっています。

M&A報酬の種類を例を挙げると、

  • 着手金 :一般的には、業務委託契約書を締結した際に発生
  • 中間金 :売り手・買い手との基本合意書が締結された際に発生するのが一般的
  • 成功報酬:M&Aが成約した際に支払う手数料
  • リテーナーフィー:毎月発生する顧問報酬

などがあります。

また、報酬の算定方法と条件については、

  • 報酬の算定基準:一般的にレーマン方式(各階層のパーセンテージで算定)
  • 最低報酬   :パーセンテージで算定するものの、最低報酬を設けているという事
  • 支払時期   :M&Aプロセスのどの時点で何日以内にどの種類の報酬を支払うか?
  • その他、費用 :報酬以外に発生する費用として、旅費交通費や会議費など

などがあります。

冒頭お話した通り、各M&Aアドバイザーによって料金体系は異なりますので、これについても要確認です。

次は、「テール条項」です。

テール条項とは、

テール条項とは、業務委託契約期間が終了した後も、M&A報酬を請求する事があり得るという事を記載した条項のこと

です。

例えば、売り手・買い手が共謀し、報酬の支払いを逃れるためM&Aアドバイザーを通さず、直接M&Aを成約させることも可能と言えば可能です。

これを防止するために記載されるのが、テール条項です。

この行為が明るみに出た場合は、当初約束していたM&A報酬を請求されることになります。

テール条項の期間は、2年程度とされることが一般的ですが、業務委託契約書上、直接取引は禁止されていますので、注意しましょう。

その他の部分については、ご覧いただければわかる内容となりますが、最後に1点だけ、解説いたします。

「13」の部分。

13 上記10,11の説明の後、契約締結について適切に判断するために、依頼者に対し、十分な検討時間を与えます。

ここも非常に重要な事項です。

業務委託契約書については、事前にM&Aアドバイザーから依頼者に送付し内容を確認いただくことや、契約内容の説明後、検討時間を与える必要があり、その場で契約締結を即決させる行為は禁止されています。

契約締結の即決を求めてくるM&Aアドバイザーがいたとしたら、これも注意が必要です。

必ず検討期間を十分にとり、熟考した上で、業務委託契約書にサインするようにしましょう。

バリュエーション(企業価値評価・事業評価)(14)

企業価値評価・事業評価についても、算定方法やその根拠などの説明を受けることになります。

評価方法としては、

  • インカムアプローチ :収益性に焦点を当てた評価方法
  • コストアプローチ  :貸借対照表の時価(または簿価)純資産に焦点を当てた評価方法
  • マーケットアプローチ:類似した企業の時価などから算出する評価方法

が、ありますが、一般的に中小企業のM&Aにおいては「年買法」により評価します。

年買法とは、

企業価値評価方法の一つであり、評価対象企業の時価純資産にのれん(営業権)として、一般的には営業利益の複数年分(1〜5年分)を加算して企業価値を算定する評価方法のこと

です。

ここで注意していただきたい点は、企業価値評価・事業評価の算定方法は、上記にあるように多数存在し、算定する人間によって算定結果が変わって来るため、絶対的な算定結果は存在しません。

そのため、確定的な企業価値評価・事業評価を下してくるM&Aアドバイザーがいたとすると、それは中小M&Aガイドラインに反した行動であり、信用性がない可能性が高くなります。

その場合は、顧問税理士などにも、企業価値評価・事業評価を依頼し、M&Aアドバイザーが算出した結果と比較するようにしてください。

また、他の専門家からの意見を参考にすること(セカンドオピニオン)を、禁止してくるM&Aアドバイザーも要注意です。

セカンドオピニオンを禁止する行為は、自己の意見以外の情報が売り手・買い手に入らないように画策している可能性も高いため、やはり信用性のないM&Aアドバイザーといえるでしょう。

譲り受け側の選定(マッチング)(15~17)

売り手側に係わる事項ですね。

M&Aアドバイザーが買い手候補を探索する際、簡易的な企業・事業情報を掲載した資料であるノンネームシートを使います。

買い手候補はこの情報を閲覧し、買い手側の実名開示(ネームクリア)の上、交渉の打診をします。

これを受け、M&Aアドバイザーは売り手の実名開示及び企業概要書や詳細資料を買い手に開示するわけですが、交渉打診を入れてくる先全てに情報を出すわけではありません。

交渉打診先の情報を精査し、アドバイザーとしての意見を付して売り手に実名開示及び交渉の可否を確認しなければいけません。

これは、買い手候補より交渉打診がある都度行います。

もちろん、事前に買い手との秘密保持契約を締結する必要もあり、情報漏洩防止に努める義務もあります。

これらがないがしろとなっているM&Aアドバイザーもやはり信用には置けず、それだけではなく、機密情報が漏れてしまうリスクも高くなりますので、要注意です。

交渉(18)

中小M&Aの全体像や今後の流れ、いわゆるM&Aプロセスについては、重要事項説明書に記載される事項となります。

これについてもM&Aアドバイザーから必ず説明を受けるようにして下さい。

デュー・ディリジェンス(DD)(19)

デュー・ディリジェンスとは、

デュー・ディリジェンスとは、買収監査とも呼ばれ、売り手企業から提供された資料に基づいて調査を行い、その会社の実態や問題点を監査すること

です。

仲介契約の場合、また、FA契約でも売り手側のFAは、デュー・ディリジェンスを実施する事が出来ません。

なぜならば、デュー・ディリジェンスは、売り手側の調査のため、売り手と業務委託契約を締結しているM&Aアドバイザーが調査を行うと、売り手側に不利な情報を秘匿する可能性が高くなり、買収リスクを明確にすることができなくなるからです。

これは、仲介契約の場合、利益相反行為となるため、厳に禁止されています。

そのため、売り手側と業務委託契約を締結するM&Aアドバイザーは、買い手側及び調査人のデュー・ディリジェンスの協力(資料提出やヒアリング対応など)までと制限されます。

最終契約の交渉・締結(20~22)

冒頭、「20」「21」にある通り、M&Aアドバイザーは、 最終契約の締結までの期間において、譲り渡し側・譲り受け側の双方が可能な限り納得し、かつM&A 成立後に当事者間でトラブルが発生するリスクを低減した形で(低減の上でリスクが残る場合は、少なくともそのリスクを当事者が理解した形で)、最終契約が締結されるように支援しなければならず、最終契約後・クロージング後に当事者間での争いに発展する可能性があるリスクについて、最終契約の締結までの調整の実施や依頼者への説明を行わなければいけません。

近年、中小M&Aにおいてのトラブルも多発しております。

特に、買い手側の譲渡代金の未決済(または一部の支払いのみ)や、個人連帯保証の解除・変更の不実行など、契約の不履行も目立ちます。

これについての詳細を記載すると非常に長くなるので、また別の記事で投稿します。

クロージング(23)

M&Aの成約日、つまりクロージング日において、譲渡代金の決済と譲渡対象資産の引き渡しが実行されます。

一般的には、ここまでの段取りと着金の確認までが、M&Aアドバイザーの仕事となってきます。

クロージング日の段取りは、M&Aアドバイザーより必ず説明を受けるようにしましょう。

まとめ

以上、「中小M&Aガイドライン(第3版)遵守事項・支援の質の確保・M&A プロセスにおける具体的な行動指針(7~23)」についての解説でした。

非常に長くなってしまいましたね。

注意点などの詳細をもう少し解説したかったのですが、あまりにも長くなるため割愛した部分もあります。

これについては、個別論点として別の記事で解説したいと考えております。

さて次回は、続編となる

「不適切な譲り受け側の排除に向けた取組(24)」
「仲介契約・FA契約の契約条項に関する留意点(25~33)」
「仲介者における利益相反のリスクと現実的な対応策(34~41)」
「その他(42)」

の内容を解説しますので、次回記事もご覧いただけますと幸いでございます。

投稿する記事が、ご覧いただいてる中小企業経営者のみな様の安全取引や最良のM&Aアドバイザーの選定にお役立ていただけたら幸いでございます。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

中小企業のM&Aは、売り手様・買い手様の一期一会のご縁によりご成約されるものです。

ご覧いただいている方に、良縁がありますよう祈念させていただきます。

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