事業承継・M&Aを失敗しないための注意点第2回「秘密保持の重要性」
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事業承継・M&Aを失敗しないための注意点、第1回では、「M&Aアドバイザーの選び方」を解説しました。
《前回記事》 |
今回はM&Aを実行する上で、最も重要な「秘密保持」についてご説明していきますが、案外ここの部分を理解されていない方が多く、売り手、買い手双方どちらも注意していただきたいところです。
一般的に、M&Aに関する情報は、適切な時期まで社内外への公表しません。
特に売り手側にとっては、M&A交渉を行っている事が社内外へ知れてしまうと、取引先との信用不安や社員のモチベーションの低下、離職につながるなど、経営自体が傾いてしまう可能性があります。
また、買い手側にとっても、売り手側の価値を適切に判断し、M&Aを円滑に進めるためにも、社外秘として情報漏洩対策を講じておく必要があります。
この「秘密保持」について違反があると損害賠償請求を受ける事もあり、この部分については、細心の注意をもって事業承継・M&Aに取り組んでいただきたいところです。
事業承継・M&Aを失敗しないための注意点、第2回目は、「秘密保持の重要性」を、解説致します。
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秘密保持の重要性
事業承継・M&Aは「秘密保持」に始まり、「秘密保持」に終わると言われるくらい、重要な事です。
では秘密保持の重要性について解説して行きましょう。
なぜ秘密保持が重要なのか?
なぜ事業承継・M&Aにおいて秘密保持が重要なのかは、情報漏洩が生じると、従業員の動揺や顧客・取引先への信用不安につながるからです。
人の口とは恐ろしいもので、事実とは違う内容が独り歩きしてしまう事もあります。
経営内容の良い会社であっても、業績不振によりM&Aされてしまうや、M&A成立後に従業員は全員解雇になる等、悪い方向に想像されてしまう事もあります。
これは売り手に限った話ではなく、買い手も同様で、例えば買収検討している事が競合他社に漏れてしまう事で、先手を打たれる可能性も出て来ます。
売り手、買い手、両社にとっても経営面に大きなダメージが生じてしまう恐れがあるので、M&Aにおいて秘密保持は最重要であると言えるのです。
秘密保持契約
秘密保持契約についても触れておきます。
M&A交渉を行うに先立って、情報漏洩を避けるために、まずは秘密保持契約を締結します。
M&Aマッチングサイト上での交渉ですと、サイトを利用するにあたって秘密保持義務が発生しますが、M&Aアドバイザーと秘密保持契約を締結したことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
上記でも触れたとおり、秘密保持はM&Aにとって最も重要な事です。
秘密保持契約は絶対に反故にしてはなりません。
ここでは秘密保持契約についてのご説明をします。
《参考記事》 |
秘密保持契約の目的
M&Aにおける秘密保持契約の最大の目的は、「M&Aに関する情報のみを公開し、他の用途に利用せず、情報漏洩しないこと」です。
これを明確にしないと、自社の情報を公開した相手企業が、M&A以外のことに情報を利用する恐れがあるからです。
よって、M&Aにおける秘密保持契約書には、必ず契約の目的を明記するようなっており、開示された情報はM&A以外の目的には絶対に利用してはなりません。
情報の範囲や取り扱い
買い手が買収を検討する際、売り手側より様々な情報を入手し意思決定をするわけですが、秘密保持契約書には開示される情報の範囲や取り扱いが明確にされています。
内容としては、
- 対象となる情報の範囲
- 開示を行って良いとする範囲
- 保持する期間
- 情報の管理方法
- 情報の伝達方法
- 情報の破棄方法
などがあります。
上記内容を逸脱した情報の取り扱いは絶対に避けてください。
契約違反について
故意・過失に係らず、情報漏洩が発生する可能性もあります。
そのため、契約違反をした場合には「罰則」があるという事が明記されています。
内容としては、
- 損害賠償に関する事項
- 裁判管轄
などがあります。
交渉上のトラブルは絶対に避けなけらばなりません。
情報の取り扱いには細心の注意を払い、M&A交渉を行いましょう。
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必見!意外なところから漏れる秘密!
気を付けていても秘密情報は意外なところから漏洩してしまう場合があります。
例を挙げてご説明します。
パソコンの開けっ放しや資料の出しっぱなし!
最もやってはいけないことです。
先方とのメールや検討資料をパソコン画面に表示したままの離籍や、ペーパーベースの資料を机の上に出したままの帰社など、怠惰なことによる情報漏洩は絶対に避けなければなりません。
代表電話や社員全員が見れるメールアドレスに連絡してしまう!
トップ面談終了後によく起こる情報漏洩です。
買い手側がトップ面談の御礼メールを名刺に記載されたメールアドレス宛に送ってしまい、それが全社員が見れるメールアドレスだった場合や、緊急の際に代表電話に連絡してしまうケースです。
トップ面談の際は、連絡先が代表者直通の携帯番号とメールアドレスをもらうようにするか、先方への連絡は、M&Aマッチングサイトのメールボックスのみを使用するなど、情報交換の方法は必ず確認しましょう。
《参考記事》 |
移動中や喫茶店での会話から情報が洩れる!
移動中や喫茶店での会話にも気を付けなければなりません。
名前を伏せていたとしても、商材やサービスなどから対象企業が特定される可能性もあります。
対象会社の関係者や取引先、社員に聞かれてしまえば一発アウトです。
買収検討などの会話はできる限り帰社後に行いましょう。
何気ない部分に落とし穴がある!
上記で挙げた通り、情報漏洩は何気ないところから発生してしまいます。
これはM&Aに限った話でもないですが、普段の習慣としても気を付けなければいけないところでしょう。
情報漏洩の最も有効な対策は、普段から身の回りを整理整頓し、確認すべき事項を明確にし、社外ではM&Aに関する会話を一切しないなど、普通の事を普通に行う事です。
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まとめ
以上、事業承継・M&Aを失敗しないための注意点、第2回「秘密保持の重要性」を、ご説明しました。
冒頭にも記載した通り、M&Aに関する情報は、適切な時期まで社内外への公表しません。
特に売り手側にとっては、M&A交渉を行っている事が社内外へ知れてしまうと、取引先との信用不安や社員のモチベーションの低下、離職につながるなど、経営自体が傾いてしまう可能性があります。
また、買い手側にとっても、売り手側の価値を適切に判断し、M&Aを円滑に進めるためにも、社外秘として情報漏洩対策を講じておく必要があります。
秘密保持については、細心の注意を払い、M&A交渉に臨むことが事が重要なのです。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
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